女性不妊症は、男性と大きく異なる特徴があります。
加齢と自己免疫疾患という問題です。女性は30歳ごろから卵子の質(機能)が低下し始め、38歳ごろには急速に低下し、40歳を過ぎればさらに顕著となるため、妊娠率は低下し、妊娠が成立しても流産率は高くなります。
実際の年齢ではなくて、卵子年齢が妊娠成立の大きなポイントとなります。
男性の場合、年齢上昇により精子の遺伝情報が乱れること(DNAフラグメンテーションといいます)が
指摘されていますが、妊娠率にはほとんど影響はないと言われていました。
しかし近年の研究により、精子の加齢も妊娠・生産率に影響を及ぼすことが分かっています。
自己免疫疾患というのは、自分自身の体(細胞や組織)に対して自己抗体という物質を作ってしまい、その標的となる部位で免疫反応(抗原抗体反応)が起こることにより発症してしまう疾患で、皮膚や神経、筋肉などに症状が出ることが多いので、膠原病とも表現されています。
シェーグレン症候群や全身性エリマトーデス(SLE)、関節リウマチ、抗リン脂質抗体症候群
という疾患があります
甲状腺(首の前面にある蝶が羽を広げたような形の臓器)の疾患であるバセドウ氏病(機能亢進症)や
橋本病(機能低下症)も、頻度の高い自己免疫疾患のひとつです。
この疾患は、妻と夫の遺伝子を半分ずつ受け継いだ胎児を9ヶ月以上、自分の子宮の中で大切に育てることができるという男性にはない女性の特殊な免疫システムや女性ホルモンが原因となる可能性があります。
二人目のお子様がなかなか恵まれない場合や、流産を繰り返す(習慣性流産)場合にその原因が検査で見つかることも少なくありません。
子宮筋腫や子宮内膜症、さらにいろいろな合併症(糖尿病を含むメタボリックシンドローム、高血圧症など)も年齢とともに増加しますので、ご夫婦が妊娠を希望されたら、少しでも早く検査を開始して、年齢に応じた治療計画を立てることが大切です。
検査の結果により、子宮・卵巣・卵管等の器官に疾患が見つかり、それらの治療が必要と判断された場合には、本格的な治療に先立ち、疾患の治療を行います。